電車でコート・ブルーを訪れる

マルセイユの北西にあるコート・ブルーは長さ約30kmの海岸線。レスタック丘陵の石灰岩が切り立ち、波に浸食された大小の入江が点在しています。起伏が多い地形のため、海岸線と平行した道路はありません。港湾都市のマルセイユとフォス=シュル=メールの工業地帯の間にあるにもかかわらず、観光開発の波から守られ、他の沿岸リゾート地とは様相が異なります。

奥深い入り江には漁師たちの小船を見下ろすように小さな家々が坂道に並んでいます。

コート・ブルーの海岸沿いを通るローカル線*は、平日13本の電車がマルセイユ-ミラマス間を往復しています。フランスの土木建築史上に名を残したポール・セジュルネの設計により、8年に及ぶ難工事の末1915年に開通。無数のトンネルと石造アーチ橋が交互に続いています。重い石を一つずつ積上げて高さ10mもの橋や土止め壁を築き上た石工職人たちの偉業は文化遺産として、またエコな交通手段として評価されています。もうじき開通100年を迎えようとする線路は補修工事と設備の近代化が進められています。

マルセイユのサン・シャルル駅を出発した後、電車は巨大な港湾設備の横を通り、15分ほどでレスタック駅に到着。赤い瓦屋根の街並みと庶民的な数件のレストランは一昔前のマルセイユの港を彷彿とさせます。、レスタックを過ぎたあたりから、はるか向こうにマルセイユの街が眺望できます。その後はラ・クローヌ駅までコート・ブルーの名にふさわしい青い海の風景が続きます。

 

*マルセイユ-ミラマス間を結ぶ路線は2本あり、コート.ブルーを通る電車はPort-de-Bouc経由です。