秋のサン・トロペ

別荘の広い庭には真っ青な芝生。パラソル松、ヒマラヤスギ、ユーカリなどの大木が木陰を落とす。

セレブのリゾート地として知られるサン・トロペ。ヴァカンスに欠かせない太陽がまぶしいほど降り注ぎます。真夏は快晴の天候が続く毎日。カラッとした陽光が照らし出す海は透き通っています。夏のリゾート客が去ってしまった9月でも、港やその周辺を散歩する観光客の姿が絶えません。久しぶりに降った雨が止めば、別荘の庭や古い町並みが変わらぬ美しさを披露してくれます。まるでスポットライトを浴びながら、華やかな姿を誇示しているかのようです。

華麗なリゾート地という呼び名が相応しいかもしれません。でも、他のリゾート地と比べると、自然環境が保全されているからこそ、ヨーロッパ中の人びとから愛されているのです。鉄道もなく、交通の便は決して良いとはいえません。地中海を航海する船が嵐を避けて非難した港が昔のサン・トロペでした。17世紀には支倉常長が寄航したという記録が残されています。20世紀初頭は、シニヤック、マチス、ピカソら多くの芸術家たちが好んで訪れた港でもあ

ります。そして、1956年ブリジット・バルドー主演の「素直な悪女」の舞台となり、サント・ロペは小さな漁村から世界的に名だたるリゾート地へと変貌していくのです。

港と高台にある要塞の間に旧市街地が広がっています。狭い通りにはシャレたお土産屋さんやレストランが点在しています。遅いヴァカンスを過す観光客は港に停泊する豪華なクルーザーを眺め、海上で過す自由気ままな一こまを思い描いているのかもしれません。港から要塞まで、露地を足の向くままに登ると、赤い屋根の間から突き出た教会の塔が見えてきます。歩き疲れたら、海の見えるベンチで一休み。目前には絵のような景色が広がっています。そんな少し遅いヴァカンスを味わってみるのはいかがですか。太陽は全ての人の肩に分け隔てなく降り注ぎます。誰もがセレブの一時を分かち合えるような気にさせられるのです。同じ通りに高級ブティックとお菓子屋さんが共存するという、そんな開放感がサン・トロペの魅力かもしれません。